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スポーツによる膝痛 理学検査と画像診断

2015.10.15 | Category: きままブログ,スポーツ,柔道整復,鍼灸

【患者情報】 十代 女性 運動部に所属

【主訴】  右膝の痛み

【現病歴】 膝に違和感を覚えるもチーム練習を続行。
2日後の練習から監督からの指示を受ける際や、ミーティングなど、
直立姿勢も辛くなり、単純なボールを蹴る動作も嫌になる程の痛みにかわる。
怪我は慣れたもので、帰宅後のアイシング等はしっかり行うも、
練習は休まず気力で行う。

【本症状の初検時の状態】 
新人戦でスタメン予定なのでとにかく右膝を何とかしてほしい。
完全伸展・完全屈曲が痛くて出来ない(したくない)。
角度計が無かった為目測で
伸展 AROM 10°  屈曲 AROM100°
PROM 5~10°     PROM100~120°
痛みを無視すれば   0°    130°
自覚するのは膝の外側が痛い。

圧痛部位 内側(-) 前面の膝蓋靭帯及び脂肪体周辺 (-)
外側(+) 外側裂隙周辺が特に痛む。
やせ型であるためパッと見た感じでも膝に腫れがある。
発生機序として、明らかにこの瞬間に痛めたという記憶はない。
しかし練習時に夢中になって気づかずに打撲による痣が出来ている事も多々あるため今回も記憶にないだけの可能性もある。

【スペシャルテスト】 膝蓋跳動(+)
膝蓋骨圧迫テスト(やや外側に違和感を誘発)
膝蓋骨叩打、脛骨・腓骨パーカッション(-)
前方引き出し(-) ラックマンテスト(-)
後方引き出し(擬陽性)患者に違和感誘発と僅かにサグサインがある。
内反ストレス 伸展時(-) 30°(-)少し痛みは出る。姿位のためか。
外反ストレス 伸展時(+) 30°(-)何回か行うと必ず再現されるわけではない。
           ↳外側裂隙付近に痛み。
ステインマンテスト(-)内旋し完全屈曲時から伸展する際に内側にクリック音
は出るが痛み等の誘発は無い。
マックマレーテスト 股関節内旋時〈(-)違和感程度の誘発〉 外旋時(-)
バウンスホームテスト (+)
アプレーテストは手技の中にてやってみたが、正確な反応は見られなかった。

【結論・治療計画】理学検査から、膝の捻挫による軟部組織の損傷
特に、外側半月と後十字靭帯の損傷が怪しいと伝え、炎症による腫れが出ている。
半月板にしては、発生機序及びスペシャルテストの再現が完全ではないので軽度
であることを願い、可能な限り炎症を抑える努力を行い、
続けて来院することを条件に出場はやむなしと判断。
時間が取れ次第、病院での精査を行うことにした。

【日常生活での指導内容】当日から3日間は練習直後の湿布、帰宅後のアイシングと入浴後のアイシング、
サポーターもしくはテーピングでの補助を行っての練習をすること。

【施術内容】 1回目 前回までの症状から下半身のほぐし、膝の患部へのアプローチは
MCRによる腫れへの治療(swelling パッドで)、PSTによる四頭筋の緊張緩和
牽引、AKA、による関節面の隙間を広げ、動きを滑らかにする。
テーピング 四頭筋の補助テープ・螺旋状に安定させるテープ

2回目 痛みをこらえて大会出場し終了に来院。
外側から後面にかけて痛みがある。痛みのレベルは変わらず。
痛む場所が漠然としている。
MCR、下半身の手技、PST、キネシオ 腸脛靭帯系として治療

3回目 再度理学検査を実施。
外側半月かとも思ったが、膝窩筋へのアプローチ。
下半身の手技 鍼(パルス治療)、干渉波

4回目 下半身手技、鍼(MCR通電)により腫れ、膝窩筋へもアプローチ
初検時の跳動は無くなり腫れもなくなったが痛みのレベルは僅かによくなる程度で、
著効は見られず。病院へ行くべきか行かないか相談を受ける。
行くとしたら東北整形の前田先生(ベガルタチームドクター)に診てもらいたい。
丁度良く明日が外来を担当する日との事。いくなら授業終了後を予定。
紹介状発行
患者さんの了解を得て東北整形で診察立ち合い。

5回目 前日にに東北整形外科にて精査し来院。
X-Pは問題なし。
MRIの結果以下のように診断を受ける。
診断:①右脛骨外側顆骨挫傷※1
   ②右膝陳旧性後十字靭帯損傷※2
想像した半月板に関しては問題ない模様で、2週間程度のレベルを落とした運動にて
自然に治癒する。もし痛みが引かない場合にはまた来院するようにとの説明を受ける。
 下半身の手技、お灸(髄会の絶骨、骨会の大杼、膝周囲のツボに)

6回目 痛みはあるが運動は行える程度。
治療は5回目の時と同様に行う。

7回目 膝の痛みはほぼ寛解。
例のごとく足関節の痛みが酷くなり、そちらをメインに治療を行う。

【まとめ】酷さの割には発生機序が不明確だったので、問診やスペシャルテストを
丁寧に行った。しかし本症状の初検時から3名の術者が診て3様の答えが出てしまう
    整骨院レベルでは判断し難い症例だったが、重傷かもしれない中で可能な限り選手の希望に沿うように整骨院・病院の連携により
    効果的に治療が出来また、時間外ではあったもののその日のうちにMRIの撮影を行ってもらえたので、早期復帰に貢献できた。

※1 骨挫傷とは:骨軟骨骨折や顆部骨折とは異なり、骨髄のみに異常所見を示すことがYaoら(1988)やMink(1989)によって明らかにされた。これはMRIでのみ診断できる骨傷であり、Minkらは骨挫傷と定義している。MRIでのみ描出できる骨髄の損傷で、骨髄内の骨梁の微小骨折、出血、浮腫を現す。この病変は骨端部または一部は骨幹端部にまで及ぶ骨髄内に、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号に描出でき、軟骨下骨板と連続したあるいはやや離れた部位の地図状陰影として観察できる。(骨内骨折) 骨折脱臼 改訂2版より引用 
一般的骨折・不全骨折は線状に陰影が映るのに対して、骨挫傷の場合は地図様(影)のように映る。
フィギュアスケートの高橋大輔選手も罹患し、グランプリファイナル欠場。
日本ハムの中田翔選手は死球を受けた際に、骨挫傷を罹患している。
    
正常なMRI画像               ↑の部分が骨内の挫傷部位。陰影として映っている。

※2 陳旧性後十字靭帯損傷とは:陳旧性(古くからの)後十字靭帯損傷。今回の症例では損傷により本来の太さではなく、伸びて細くなってしまっている。
下の図は本症例に類似したMRI画像

a.正常なMRI画像         b.細く伸びてしまった状態

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宮町鍼灸整骨院

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