側弯症、どういう風に曲がる?
前回、側弯症がただ横に曲がっているわけではないということをお伝えしました。では実際のところどのような感じで曲がっているのでしょうか?
背骨は、首に7コ、胸部で12コ、腰部で5コの合計24コあり、
上には頭蓋骨、下には骨盤の仙骨という骨の間で体幹を支えています。
側弯症の多くは、胸部と腰部です。特に胸部がもっとも多く、変形も目立ちやすいです。この胸部の側弯ですが、一見すると確かに横に曲がっているようにしか見えないかもしれません。
しかしレントゲン写真で背骨を確認すると、微妙に捻じれを伴っていることに気づきます。
そうなんです!
側弯症でもっとも特徴的かつ重要なのは、この捻じれの状態なのです。
力学的にみると、背骨の構造上、ただ横に曲がる、というのはかなり不自然で曲がりづらい形に作られています。
そんな形の背骨を横に曲げようとすると、どうしても捻じりながらでないと上手く曲がっていきません。
また、逆に考えると真っ直ぐな背骨を捻じっていくと、真っ直ぐなままでいられず、これも背骨一つ一つの形に従って、横にずれるように曲がっていかないと捻じれません。
本当はこのような構造上の物理法則に従って曲がるはずなのです・・・。
ところが!です。
特発性側弯症の捻じれ方は、この物理法則を無視した逆の方向に捻じれます。
例えば側弯を背中側から見て、右の方に弯曲しているとします。
この場合の捻じれは、力学的にもっとも無理のない自然な捻じれは時計と逆回り(左回り)です。
これをカップリングモーションといいます。
しかし、側弯症の背骨の捻じれはそれとは逆の時計回り(右回り)に捻じれます。
なぜわざわざ本来捻じれにくい、曲がりにくい方向に回ってしまうのか?これがわからない。
わからないが故の原因不明であり、治療法の未確立なのです。
まとめます。
背骨の生理的カーブが失われ真っ直ぐ過ぎる背骨に
↓
体幹を支えるのに不都合な真っ直ぐさのせいか、重力に負けて捻じれ始める。
(なぜか右回りに)
↓
右回りに捻じれたら、力学的には左の方へ背骨がずれて曲がっていくべきだが、
なぜか右方向に曲がっていく。
このような順で曲がるパターンが多いようです。