不眠症の鍼灸施術(後編)

後編は実際の施術方法についてご紹介いたします。


前編で不眠症には、大まかに分けて・・・

温度や明るさ、騒音、枕などの環境要因

年齢、性差、痛みや痒み、頻尿などの身体要因

悩みやイライラ、ストレスや緊張による心的要因

カフェイン、アルコール、食べ過ぎ、薬の副作用などの生活習慣要因


の4パターンがあると申し上げました。

このうち、環境要因はなんとか工夫してください。

同じく、生活習慣要因悔い改めてください。


ここでは、身体要因および心的要因による不眠のケースについて追いかけてみます。

身体要因のうち、疾患によるものについては、まず病院等での医療措置が優先します。

これはいたし方ないところ。疾患による痛みや不快がある場合は、まずはこれを治したり軽減させなければどうにもなりません。それが直ちに功を奏すればいいのですが、そうもいかないことも多いので、睡眠導入剤などを処方される、なんてことはよくありますね。

そういうのではなく、例えば年齢から来るもの。たいていお年を召してくると、不眠を訴えることが多くなってきます。

よくあるのは、朝早くに目が覚めてしまう・・・

これは高齢者でも陰虚体質の方に見られがちなパターンです。陰虚になると体を落ち着かせたり冷やしたりする気が不足し、相対的に熱が抑えきれず虚熱なるものが発生します。この熱が早朝から外に出てきて頭や目に上ってくるので目が覚めてしまいます。


また中途覚醒、すなわち夜中にちょくちょく目が覚めてしまう・・・と言ったケースも多いですね。

夜中のトイレの回数が増えてちょくちょく起きてしまうのは、コレはどちらかというと疾患系になりますので、前立腺や泌尿器系のの治療が必要な場合があります。

トイレと関係なく目が覚めてしまうのは、これも陰虚体質系の方に多いのですが、これが早朝に限らず起こるのは、さらに熱が体内に多い場合です。朝を待たずにちょこちょこと熱が外にあふれ出る時に目が覚めてしまいます。


と、中医学的に解釈するとこんな感じになるのですが、一般的にはこれらすべて・・・

「自律神経のバランスの乱れ」だね・・・

と捉えられてしまいます。

それはそうなんです。それも間違いではないのですが、そんな単純な解釈だけでは治療をスタートさせるのは難しい。


なので、確かに自律神経への着目は大切だし、実際の治療でもそれをコントロールするキッカケを生み出すための刺激を入れたりするのだけれど、イメージとしてその不眠の原因やメカニズムをもっと深掘りしていって、その人に最適と思われる治療法をオーダーメイドで提供するようにしています。


同じ中途覚醒でも、診察をすると中身がずいぶん違っていたりするのもよくあること。だから私たちは病気を診るのではなく人を診ることを最重要視しております。

ゴールは同じでも、その行程はそれぞれ。

その行程が同じようなものだったとしても、そこを歩むスピードやペースはそれぞれ。

常にその人の状態を確認しながら、毎度微調整を繰り返し・・・

たまには行程に誤りがあるときも正直ありますので、その時は引き返したり路線変更をしたりして、試行錯誤しながらゴールに向かって進むことになります。

こんなやり方です。

だから、よく「不眠に効くツボを教えてください!」とか言われるのですが、正直そんなものは・・・

ない!というか、すぐに特定できない!としか言いようがありません。

繰り返しになりますが、私たちは「不眠症」という病気を診ているのではなく、

いま不眠に悩んでおられる「あなた」を診るのであり、あなたを診察した結果として、あなたの不眠に適応したツボはココです!というのであればアドバイスできます。

という訳でして、私たちはこんな考えのもと、不眠であろうがなかろうが、とにかく診察して、まずその人のお身体の状態がどういうものであるのか、それを把握することに努めます。そしてその状態から不眠に至るメカニズムを探ります。これを「弁証」といい、それを推測できたらそれを解凍する理論を構築します。それが治療法であり「論治」といいます。

宮町鍼灸整骨院では、この一連の流れに対して、

「長野式」という鍼灸術を中心にして行っています。それに加えて他にも学んだ様々な方法も、例えば中医学や経絡治療などの素晴らしい視点も入れながら行っています。





執筆者 鈴木一誠

 

宮町鍼灸整骨院

〒980-0004 仙台市青葉区宮町2-1-47阿部幸ビル

【Instagram】
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