帯状疱疹後神経痛 鍼灸治療の取組み①

【いま帯状疱疹が増えているそうです】

帯状疱疹とは、過去に水ぼうそうに罹った人が、体内に潜伏する帯状疱疹ウイルスの再活性化によって発症する疾患です。

水ぼうそうは全身の皮膚上にぷくぷくと痛痒い水泡ができますが、水ぼうそうが治癒した後に、ウイルスがその皮膚に伸びてきている知覚神経を伝って、脊髄の神経根にある知覚神経節に潜伏します。

水ぼうそう自体は一度罹患し免疫が完成すると、もう罹ることはありません。しかし加齢、疲労、ストレスなどがきっかけとなり免疫が低下すると、神経のごく限られた部分に潜んでいたウイルスが再活性化し、その神経の支配領域に限局して突然水泡が出てきます。

この帯状疱疹が、近年かなり増えてきていると言われています。

いろいろな要因はあるかと思います。高齢化も進んでいて免疫力の低下したお年寄りも増えていますし、コロナ禍のストレスや免疫低下の影響もあるかもしれません。

いずれにせよ、免疫の影響が大きい疾患は押しなべて増加しているようで、帯状疱疹はその代表格です。


【問題はその後・・・帯状疱疹後神経痛】

帯状疱疹は、発症時の辛さももちろんありますが、厄介なのが「帯状疱疹後神経痛(PHN)」です。通常、病院の治療では鎮痛薬や抗うつ薬などの薬物療法、神経ブロック療法などが行われることになりますが、長期間、強い痛みに悩まされるケースも少なくありません。

神経痛ですので前記の処置は、根本治療ではなく、あくまで対症療法です。すなわち、とりあえず痛みを抑える、という目的のもとで行われているものです。

私どもは、それとは異なるアプローチ法で帯状疱疹後神経痛に向き合っています。


【鍼灸を行う意味】

鍼灸治療は何を目的として行い、それによって身体がどうなることを期待しているのか?それについてお話しします。

鍼灸治療は、本来備わっているカラダが自然と治る「システム」の修理を行う手段の一つです。いわゆる「自然治癒力」という「システム」ですね。これが何らかの影響で弱まってしまっている・・・その原因、邪魔しているものを見つけて修理する、上手く修理できたら自身の自然治癒力が存分に発揮されて、自身で治していく、という形になります。

こう書くと簡単そうに見えてしまいますが、実際は決して簡単なことではありません。自然治癒力が正常に働き始めても、そこからいよいよ自身の力で「病勢」と戦わなければなりません。完全に修理された自然治癒力システムでも必ずしも楽勝というわけではなく、病勢が強ければ劣勢に立たされますし、戦いが長きに渡り疲弊してくると、再び自然治癒力システムに異常が生じたりします。

鍼灸治療ではその辺をよく観察しながら、必要な時に修理部隊や支援物資を送るかのように治療を重ねていきます。

そうして病勢との戦いにようやく勝ちを得たとしてもそれで終わりではありません。戦場となっていた身体の中は、あちこちボロボロになっています。これをそのまま放置するわけにはいきません。また悪くなってしまいかねないからです。しっかりと戦いの後始末=戦後処理をしなければなりません。ここでも鍼灸治療が活躍します。むしろ一番得意なところと言ってもいいかもしれません。

このような流れで、鍼灸治療は進められています。

次回は、この鍼灸治療の流れを、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛という病勢との戦いに置き換えて考えていきます。

【筆者:鈴木一誠】

宮町鍼灸整骨院

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