鍼灸で追いかける五十肩

前回のブログで、宮町鍼灸整骨院の五十肩治療のスタンダードを書きましたが、これと並行して鍼灸、いわゆる東洋医学の叡智も駆使して五十肩の治療に取り組んでおります。

今回は、「鍼灸で追いかける五十肩」としてスタンダードとは違ったアプローチをご紹介します。

【現代医学との違い】

「五十肩」は、中年域に差し掛かった年齢層の人に発現しやすい肩の痛みや運動障害を伴う症状のことを指します。病名で言うと多くは「肩関節周囲炎」に相当します。

西洋医学をはじめとする現代医学では、レントゲンやMRIなどにより、局所の病態を観察し、徒手的検査や血液検査なども行うなどして診断を下します。

治療においても投薬を中心に、シップを処方されたり、リハビリに力を入れている病院では運動療法をしたりしますが、あくまで狙いは肩そのもの、局所になります。

東洋医学をはじめとする伝統医学では、局所より先にまず全体を・・・人間を丸ごと捉えることに注力します。すなわち痛みの原因として、レントゲンやMRIで肩関節のどの部分の間隔が狭いとか、ここに炎症所見が見られる、とか、この筋肉に拘縮があるなどの直接的な原因ではなく、なぜ炎症が起きているのか、間隔に異常が出てしまったのか、なぜ筋肉が硬くなってしまったのかなどの根本的な原因をまず考えます。そしてそれが自然治癒力でなぜ片づいてくれなくなっているのか?ここがもっとも重要で、本来であれば自然に落ち着いて治ってほしいのにそうならない原因、ここの問題が解決されなければ、また同様の痛みがぶり返してしまう、と考え、まずはその治療を最優先にします。そしてそこをクリアにしながら並行して局所へのアプローチもしていく・・・という流れになります。

一つ一つの精密な診断、エビデンス、どれをとっても伝統医学は現代医学に適うべくもありませんが、人間を全体として丸ごと捉え、根本的な原因から探っていく、というこの流れがあるからこそ、エビデンスに不明な点が多いにも関わらず、いまだに鍼灸をはじめとした伝統医学が消滅しないのは、こうしたところに一つの理由があるのだと思います。

【五十肩の原因】

痛みの直接的原因ではなく、なぜその状態に至ってしまったのか?発生に至るまでの流れを推測します。

まずは、「加齢」ですね。五十肩というくらいですから、これははずせません。それ以外のヒントを問診を通して探っていきます。

生活環境は?お仕事は?栄養状態は?既往歴や現在の体調は?スポーツ歴は?疲労やストレスは?・・・

他にも様々あります。人間全体を丸ごと捉えるので、可能な限り丸裸にしたいところです。さらには五十肩とは一見何も関係ないような他の症状、例えば目が疲れているとか、冷えるとか、足がむくむとか、何でもいいので身体のちょっとした変化・異常も見逃さないようにします。それら中に重要なヒントが隠れていることがあり、病院では聴かれないようなことの中から探し出すことが腕の見せ所でもあります。

例えば、まず加齢というどうにもならない現象が前提にあり、その上で、

肩を酷使する仕事やスポーツをしている、あるいはしていた、となると腱板部等への継続した微小損傷による慢性炎症が考えられますが、通常現代医学で考えるのはここまでで、慢性炎症に対する消炎鎮痛などを目的とした投薬や、循環改善や拘縮予防のための運動療法などを処方します。

私たちはそこからさらに深みを目指して追いかけていかなければなりません。なぜなら投薬のような炎症に対する直接的手段に勝る術を持っていないからです。そこだけを狙うのであれば現代医学に敵うはずもありません。

次回は鍼灸による追いかけ方の実際についてです。



【筆者:鈴木一誠】

宮町鍼灸整骨院

〒980-0004 仙台市青葉区宮町2-1-47 阿部幸ビル2F

TEL 022-268-0855

【Instagram】
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